三密堂【密教関連】のトピック

『般若心経秘鍵』14
2014/02/21
投稿者
愚道
内容
「此の菩薩に法曼荼羅真言三摩地門を具す。一一の字は即ち法なり。此の一一の名は皆、世間の浅名を以て法性の深号を表す。即ちこれ喩なり。此の三摩地門は仏、鷲峯山に在して鶖子等の為に之を説きたまえり」

これを現代語に訳すと、

「この般若菩薩には、真理の世界を示す仏の言葉で説かれる最も深い悟りの境地の教えが備わっています。従って『般若心経』の一つ一つの文字は、すなわち法そのものです。そして、一つ一つの単語は日常的な意味で用いているものでありながら、真理の世界の深い意味を表現しています。つまりこれは象徴的な言葉なのです。この最も深い悟りの境地の教えは、仏さまが霊鷲山で、弟子の舎利弗たちのためにお説きになったものです」

となります。
まぁ、空海の時代では仕方がないのですが、現代の仏教学の発達により、『般若心経』などの大乗経典は釈尊の直説ではなく、後世の創作であると判明しております。空海が正しい仏教史をご存知ならば、どういう教法をお説きなったのか、私は実に興味深いと思います。

コメント 2件

金剛居士
金剛居士さん

2014/03/02 [19:58]

愚道さん、こんにちは。


『般若心経秘鍵』13には、「若し総の義を以て説かば、皆、人法喩を具す。」とありましたが、これは一般に「人と法と喩の三つを具す」という意味に解されているようですね。しかし、「人の法の喩を具す」すなわち「大般若波羅蜜多菩薩の法曼荼羅真言三摩地門の喩えを具す」と解してもいいのではないかな、とも思います。

「此の一一の名は皆、世間の浅名を以て法性の深号を表す。」というのは、顕教においてもそのとおりで、五蘊という浅名で空性の真実を指し示しているわけですから、「分かる人には分かるが、分からない人にはさっぱり分からない」という世界だと思いますよ。たとえば「肉体は滅ぶ」(=色即是空)ということを使って、一切が空性より成立していること(=法性)を暗示しているのですから、顕教の立場からいっても喩えです。

それをなんでわざわざ法曼荼羅真言三摩地門なるものを持ってくるのか。まあ、空性の展開(=空即是色)の一つとしてこの三摩地門から大般若波羅蜜多菩薩が出生したと考えてもいいんですが、普通の理解からいくと、空海の議論の展開には面食らいますね。




~Φ 金剛居士 Ψ~
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愚道
愚道さん

2014/03/02 [20:59]

金剛居士さん、こんばんは。

>空海の議論の展開には面食らいますね。

まぁ、そこが空海の真骨頂なんでしょうね。
ふところに隠していた三つ目の手がにゅうっと出てくる感じは否めないと思います。