仏教喫茶室のトピック
- 日本人の神観念
- 2013/12/01
- 投稿者
- 愚道
- 内容
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中国・韓国が靖国のことにいろいろ口を挟んできますが、彼らは「日本人の神観念」をよく理解していませんし、また、それに対応する日本人もあまり詳しいとは言えないでしょう。
「日本人の神観念」はキリスト教のゴッド観とは全く別の物で、それを端的に示したのは新井白石だと思います。
新井白石は名著『東雅』の「神」の項に、
「神 カミ 上古の時、神といひしは人なり。日本紀に、神聖神人等の字、讀てカミといひし、即此也。我国の語、凡そ称じてカミといふは、尊尚之義也ければ君上の如き、宮長の如き、皆是をカミといひ、近く身に取りても、頭髪の如きをいひ、遠くの物に於ても、上なる所をさして、カミといふ。ましてや斯人の神聖なる、これを尊び称じてはカミといひ、また大神とも大御神ともいひける也」
と記しています。
要するに他の人よりも抜きんでていたり、立派だったり、勇敢だったり、頭がよかったりと言うような、人の上座に座る人は皆、「カミ」だと言うわけです。先祖も自分の上に位置しますから、カミなのです。つまり「神は上なり」です。
そういう意味で国のために命を投げ出した方々もカミとするわけですが、それが他国の人には（国内にもそういう人がいますが）分からないようです。
もちろんA級戦犯の合祀の問題もあるのですが、日本では仏教伝来以前から、亡くなった人の魂を祀れば神になり、祀らなければ鬼神となり、障りを発するという思想があります。神道の立場に立てば靖国に合祀するかどうかは別として、A級戦犯もどこかに祀らねばならない、という考えは当然出てきます。これは理屈としてではなく、日本人の信条として深く深層意識にあるように思います。
ちなみに私は、戦を指示して多くの戦没者を生んだ指導者たちは、他の戦没者と同等に祀られるのはおこがましいと考えます。ただ、別の社には祀ってもよいだろうと思います。分祀ができないと言うのならば、遷座をしてもらえばよいと思っています。
いずれにせよ、日本人が、日本人の神観念を自覚しないと、靖国の問題は袋小路にさまよいこんでいくと思うしだいです。